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『ハクソー・リッジ』レビュー

 第三十一回目のレビューは『ハクソー・リッジ』(メル・ギブソン、2016年、139分)についてです。メル・ギブソンは前に活動で上映した『パッション』の監督でもありますね。10年ぶりの監督作です。
 さて、本作は「良心的兵役拒否者(Conscientious objector)」でありながら、アメリカ軍で最高位の勲章である名誉勲章を授与されたデズモンド・ドスの半生を映画化したものになります。兵役拒否しているのに何で戦争行ってるの? と疑問に思いましたが、信条によって命令を拒否するのも「良心的兵役拒否」になるらしいです。ドスは「銃を持て(そして人を殺せ)」という命令を宗教的理由から拒否しているので、「良心的兵役拒否者」というわけですね。

 ストーリーは以下。
 デズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)はヴァージニアの自然の中で育った素朴な青年。彼は幼い頃、兄との喧嘩の際にふとしたことで大怪我を負わせてしまい、それから「汝、殺すなかれ」の戒律を強く心に刻むようになった。
 ある日、怪我をした少年を救助し搬送した先の病院で看護師のドロシー(テリーサ・パーマー)に一目ぼれをする。以来、二人は交際を愉しんでいた。一方、太平洋戦争は日に日に激化し、兄や周囲の友人たちは次々と志願し、出征していく。デズモンドは、人は殺せないが衛生兵でなら自分でも国の役に立てると考え、入隊を決める。彼はグローヴァ―大尉(サム・ワーシントン)の隊に配属され、上官のハウエル軍曹(ヴィンス・ヴォーン)の下で軍事訓練を受ける。体力的には非常にすぐれていたデズモンドだったが、「汝、殺すなかれ」の戒律や個人的な事情から、銃に触れることを断固拒否すると、周囲に動揺が広がる。除隊をすすめられたが断固はねのけ、上官や同僚からのイジメにも毅然と耐える姿を見た周囲は次第に彼の信条を尊重していくようになる。しかし、デズモンドの初の休暇――ドロシーとの結婚式を挙げる――を前に、軍は彼を軍法会議にかける。窮地に陥りかかる彼だったが、第一次世界大戦に従軍した過去をもつ父(ヒューゴ・ウィーヴィング)の機転によって、なんとかそれを乗り越え、無事従軍することになる。そして彼は、1945年5月、激戦地沖縄の地を立つのだった。――

 タイトルにある「ハクソーhacksaw」とは「弓のこ」のことで、浦添城址の周辺にある「前田高地」のこと。北側が急な崖になっていることから「ハクソー」と呼ばれたようです。日本軍はここを重要な拠点とみなし死守にこだわったため、3週間のうちに両軍の間で11回の激しい戦闘が行なわれ、ようやく連合国軍が奪取したそうです。デズモンドたちがこの地に来たのはたぶん最後の一週間辺りでしょう。この激戦の中で彼は銃を持たずに73人を救ったというのですから、とんでもないことです。
 なんといっても戦闘シーンの迫力が印象的でした。『プライベート・ライアン』のノルマンディー上陸作戦シーン並みの迫力があります。とんでもない数の人が死にます。銃や手りゅう弾で顔や手足が吹っ飛んだり、火炎放射器で丸焼きにされたり、銃剣で斬られたり刺されたり、というのがひっきりなしです。沖縄戦ではアメリカ軍の「戦闘神経症」患者が他の戦場と比べて多かったのもうなずけるひどさでした。
 ともかく、デズモンドの信条の強さに心打たれます。自らの信条を曲げることは絶対にできない、信条を曲げては生きてゆくことができない。見習いたいものです。
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