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『狂い咲きサンダーロード』レビュー

 第二十一回目のレビューは暴走族映画『狂い咲きサンダーロード』(石井聰亙[現、石井岳龍]、1980年、98分)についてです。なにかのきっかけでタイトルを見た瞬間にビビッときてすぐに観た映画です。英題は”Crazy Thunder Road”。カッコよすぎますね。つくばには今時珍しくバイクで暴走している人たちがいるので、ちょうどよいのではないでしょうか。
 監督の石井聰亙は日本大学藝術学部の映画学科出身なんですが、本作は卒業制作として撮影されたようで、いわば自主製作映画。しかし、完成度の高さゆえに配給会社によって全国で配給され、シネマ旬報ベスト・テンでは第九位にランクインするという離れ業をやってのけた映画なのです。自主製作映画ということを知った上で見ると、どっから金や機材が出ているんだろうと不思議になります。バイクやら車やらがバンバン出てきて、小規模ながら爆発したり、ガラス割ったり、メチャメチャに壊したり……とにかく今の時代じゃ撮影できないことは確かです。


 ストーリーは以下。
 日本のどこかにある街「サンダーロード」。そこではいくつかの暴走族がしのぎを削っていたが、新たに施行された新道交法によって警察の取り締まりが厳しくなることを懸念したそれぞれの族の幹部たちは、平和的な協定を結ぶために会合を開く。しかし、そうした進みゆきに納得しない「魔墓呂死」のジン(山田辰夫)は、魔墓呂死特攻隊を率いて会合を襲撃し、幹部たちに大怪我を負わせる。それでもなお協定は結ばれ、暴走族の連合「エルボー連合」が結成、「魔墓呂死」もそれに吸収されるが、反対するジンは自分が新たに「魔墓呂死」のリーダーになると宣言し、幾人かを連れて独立する。「魔墓呂死」の初代リーダーで、今はスーパー右翼の「国防挺身隊」隊長のタケシ(小林稔侍)の説得もはねのけ、暴走行為を続けるジンたちを、「エルボー連合」は無視するわけにはいかない。ある日、「魔墓呂死」は襲撃され、メンバーの一人であるユキオ(大池雅光)が連れ去られてしまう。ユキオを取り返すために戦いに挑もうとするジンだったが、連合全体を相手にすることに恐れをなしてメンバーが逃げ出す事態が起こり、結局残ったのは四人だけ。懸命に戦うジンたちだったが、多勢に無勢、奮闘むなしくユキオは殺されてしまう。そんな中、突如「国防挺身隊」が現われて戦いを仲裁し、ジンたちは一命をとりとめ、「国防挺身隊」に身柄を引き取られる。ユキオを死なせてしまった怒りをぶつけ、最初は熱心に隊の訓練に参加するジンだったが、次第に不満をため、ついには隊を脱け出し、ふたたび暴走行為に耽る。しかし、隊の庇護を失ったジンに、またも連合の魔の手が忍び寄るのだった。はたして、ジンは「サンダーロード」で自由を手にすることができるのか。――


 画質は悪いですし、演技は洗練されていないですし(山田辰夫の演技は魂がこもっていますが)、ところどころチープなところやネタ要素がありますし、演出も粗削りですが、そうした欠点(?)を補ってあまりあるほど、この映画にはスピードと力と情熱が溢れています。そうしたスピードと力と情熱に身を任せてしまえば、バトルスーツを着て戦う最終決戦のシーンとかは「カッケぇ」しか言えなくなります。タイトルバックも本当にカッコよくて、ここと最終決戦はめちゃめちゃ繰り返して観ました。
 また、特筆すべきなのは音楽。泉谷しげるや頭脳警察のパンタ、THE MODSらの楽曲が常に流れていて、それがとても映像とあっていて、映画のもつスピードと力を増大させます。特に泉谷しげるの「電光石火に銀の靴」(タイトルバックと最終決戦で流れます)と、「翼なき野郎ども」(エンディングテーマ)が好きでした。
 自由とは何か、自らを貫き通そうとするジンの生き様をぜひ眼に焼き付けてください。
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