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2018
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『恐怖の報酬』レビュー

 第十七回目のレビューは『恐怖の報酬』(アンリ=ジョルジュ・クルーゾー、1953分、148分)についてです。白黒のフランス映画です。とはいえ舞台はベネズエラ。フランス映画と聞いて連想するようなおしゃれさやある種の難解さはゼロです。超ド級のスリルを味わうことができる映画となっています。アンリ=ジョルジュ・クルーゾーは、本作でベルリン映画祭の最高賞である金熊賞とカンヌ映画祭の最高賞であるパルム・ドールを同時受賞。それ以前にヴェネチア映画祭の最高賞である金獅子賞も受賞していたので、これによって三大映画祭の最高賞を受賞した最初の監督になりました。


 ストーリーは以下。
 戦後のベネズエラのとある町。そこには、離れたところにある油田の開発のための支局がある以外はほとんど仕事はなく、移民たちは日雇い労働などをしながらようやく暮していた。そんなある日、その油田で爆発事故が起こる。石油のせいで自然に鎮火することもなく、激しく燃え盛る炎を消すだけの水もそれを放水する術もない。そこで、大量のニトログリセリンを爆発させた際の爆風で炎を鎮火させる方法が考案される。そのためには、町からニトログリセリンをトラックで運ばなければならない。しかも安全装置がついたトラックを用意する時間はないので、普通のトラックで。石油会社は2000ドルという多額の報酬を呈示してドライバーを募集すると、底辺から脱け出したい男たちが殺到する。紆余曲折あってマリオ(イヴ・モンタン)、ジョー(シャルル・ヴァネル)、ルイジ(ファルコ・ルリ)、ビンバ(ピーター・ファン・アイク)の四人が選ばれ、マリオとジョー、ルイジとビンバがコンビを組んで、トラックを一台ずつ運転することに決まる。衝撃を与えたら文字通り跡形もなくなるという恐怖の中、四人はトラックを走らせるが、道中にはさまざまな障害が待ち受けていた。はたして、四人は無事に任務を遂行し、「恐怖に対する報酬」=2000ドルを得ることができるのか。――


 安全装置のないトラックで悪路を走らなければならないというのが既に辛いのに、その上これでもかというほど困難が降りかかります。驚かされるのが、スリルや恐怖を煽る演出です。困難に直面したときは固唾をのんで画面を食い入るように見つめ、それをクリアすればホッと胸を撫でおろしてしまう、そんな演出で撮られた場面が何度もあるので、アッという間に時間が過ぎますし、疲れます。CGもなにもない時代に、よくぞここまで……やはり大事なのは発想と工夫ですね。
 一瞬の気の緩みで大爆発、しかもいくつも降りかかる困難、それでもめげずに工夫と勇気で乗り切ろうと頑張る男たちはとてもカッコいいです。特に扉をあけて後ろを確認しながらトラックをバックさせる姿が良い。日常でさえバックや駐車が上手い人はカッコいいのに、ニトログリセリンのっけてたらもうたまりません。彼ら四人を動かすのは金への欲望。それの凄まじいまでの発露も見どころです。あと、運転が主になるので演技の幅が限られますが、その分表情で語ります。とはいえ、ねちっこいアップ画はほとんどありません。あくまでサラリとしながら、しかし伝えるべくしっかりと演技しています。
 以前レビューした『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』とも、石油という点では関連しますね。油田の描写は本作も負けていません。というか、爆風で炎を消すという方法があったなんて思いませんでした。この辺は理系の人に聞いてみたい。

最後にいくつかセリフを。
ビンバ「(ルイジにつまらない人生を生きているなと言われて)どうして?」
ルイジ「お前はまだ坊やだな」
ビンバ「もう親はいない」
ルイジ「お前、何歳だ?」
ビンバ「100歳」
ルイジ「100歳? 馬鹿言うなよ」
ビンバ「人間、すぐに老け込んじまう。……何年生きたかじゃない、何を見てきたかだ」

ジョー「なぜおれに厳しく当たるんだ?」
マリオ「わからないか? お前の力が必要だからだ。二人でいくんだ……最後までな」
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