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『捜索者』レビュー

 五月が始まりました。つくばは五月になると急に暑くなるので困ります。

 さて第十五回目のレビューは西部劇映画の大傑作、『捜索者』(ジョン・フォード、1956年、119分)についてです。主演はジョン・ウェイン。ジョン・フォードとジョン・ウェインのコンビは、アメリカの西部劇映画の象徴ですね。レオーネやイーストウッドの西部劇とはまた違った良さがあります。西部劇映画の変遷とアメリカ社会の変動を研究してみるのも面白いかもしれないです。


 ストーリーは以下。
 南北戦争終結から3年後、1868年のテキサス。南軍の兵士として従軍したイーサン(ジョン・ウェイン)は、久しぶりに兄とその家族が暮らす故郷の家へ帰ってくる。兄の子供たちとの再会を喜ぶイーサンだったが、かつて成り行きで助け、その後、兄夫婦によって育てられたインディアンと白人女のハーフであるマーティン・ポーリー(ジェフリー・ハンター)を認めると、インディアンに強い偏見を持つがゆえに不快感を隠せないでいた。
 帰郷から数日経ったある日、他の牧場でインディアンの一部族であるコマンチ族によって牛が盗まれたことが発覚し、イーサンとマーティンはクレイトン牧師(ワード・ボンド)らと共に牛の奪還に向かう。しかし、それは彼らを遠くへおびき寄せるための罠であった。急いで戻ったのもむなしく、兄の家族はコマンチ族によって殺され、娘のルーシーとデビー(ラナ・ウッド、ナタリー・ウッド)は連れ去られてしまう。復讐と救出のためにすぐさま捜索隊が組織されるが、負傷者の治療やイーサンの勝手な行動などを理由に自然に解散。イーサンとマーティン、ルーシーの婚約者であったブラッド(ハリー・ケリー・ジュニア)の三人だけで捜索を続けるが、ルーシーが遺体で発見されると、ブラッドは自暴自棄になってコマンチ族のテントに突っ込んでゆき、射殺されてしまう。残された二人はいつ終わるとも定かではない捜索の旅を続けるのだった。――


 上記したようなストーリーやイーサンが差別主義者であることから、暗くて救いのない、気が滅入る映画なのではと思っていたのですが、そんなことはありませんで、むしろ詩情に溢れた良い映画でした。モニュメントバレーを筆頭にしたアメリカの広大でそっけない自然、復讐と救出のための捜索の旅、合間合間で挿入されるマーティンと彼の恋人のエピソード、そして一人寂しく立ち尽くし、やがて去ってゆくイーサンの姿、……繊細な感性によって映画が撮られていて(ドンパチもわりと少なめ)、見終わったあとはなんとも言えない気持ちになりました。
 ところで、『タクシードライバー』(マーティン・スコセッシ、1976年、114分)の脚本を書いたポール・シュレイダーは本作からインスピレーションを受けたのだとか。南北戦争に従軍していたイーサンと、ベトナム戦争に従軍していたトレヴィス、インディアンに偏見を持つイーサンと退廃した若者を嫌悪するトレヴィス、馬で旅を続けるイーサンとタクシーを当てもなく走らせるトレヴィス、コマンチ族にさらわれたデビーを救おうとするイーサンと恋人に騙され売春で生計を立てるアイリスを救おうとするトレヴィス、……そう言われてみると、共通点がいくつかあるように思われます。映画同士の影響関係を探るのも興味深いものです。
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