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『羅生門』レビュー

 レポートも大方片付きましたので、映画もたくさん観ることができるわけですが、新歓も近いということもあり、
映画レビューを載せていこうかなと思います。

 第一回目のレビューは『羅生門』(黒澤明、1950年、88分)です。

 本作はヴェネチア国際映画祭の最高賞である金獅子賞とアカデミー名誉賞(現、外国語映画賞)を同時に受賞したことで世界的にも有名です。「世界のクロサワ」といってまず挙がるのが本作と『七人の侍』(黒澤明、1954年、207分)でしょうね。ウィキ情報ですが、1982年にヴェネチア国際映画祭50周年記念で、最も素晴らしい金獅子賞に選ばれたのも本作らしいです。

 ちなみに、イタリアのヴェネチア国際映画祭は1932年に開始されまして、最高賞は「金獅子賞」。
 フランスのカンヌ国際映画祭は1946年に開始されまして、最高賞は「パルム・ドール」、それに次ぐのは「グランプリ」。
 ドイツのベルリン国際映画祭は1951年に開始されまして、最高賞は「金熊賞」。
「金獅子賞」と「金熊賞」がややこしいですね。イタリアはライオンで、ドイツは熊です。

 さて、ストーリーは以下の通り。

 舞台は平安時代の都、羅生門の下にいる木こりの男(志村喬)と坊さんのもとに一人の男がやってきて雨宿りをします。木こりと坊さんは、いましがた体験した奇妙な事件について男の意見を聞こうとその詳細を話して聞かせます。その事件というのは山の中である武士(森雅之)が殺されたというもの。木こりは武士の死体を発見したために、坊さんはその武士が妻と一緒に山を歩いているのを目撃したために、検非違使(都における警察のようなもの)に呼ばれて事情聴取を受けたのです。
 そこに都きっての盗賊である多襄丸(三船敏郎)がしょっぴかれて、武士を殺したのは自分だと自白し、事件のてんまつを語ります。しかし、その後検非違使に出頭した武士の妻(京マチ子)はそれとは違った事件のてんまつを語り、巫女の口寄せによって話すあの世の武士も前二者のと違った事件のてんまつを語ります。
 三者三様に食い違う証言。いったい事件の真相とは?――

 原作は芥川龍之介の『藪の中』という短編小説。各々の証言が絶妙な具合に食い違うように計算し、事実に辿り着くことの不可能性を読者に突き付ける傑作です。
 映画『羅生門』では最後に(実は)事件の一部始終を見ていた木こりの証言がでてきますが、これは、結局真相がわからない『藪の中』にたいする黒澤明の解釈であって、しかもそれがとても納得できるような巧みな解釈なのが興味深いです。
 そして、黒澤はそこからさらに芥川にたいする応答を、これまた芥川の『羅生門』を巧みに改変することで行なうのですが、この応答こそ黒澤がこの映画で一番やりたかったことなんじゃないかと思いました。だからこそ、映画のタイトルを『藪の中』にせず、『羅生門』したのではないかと。

 とにかく、芥川龍之介と黒澤明という二人の才能のぶつかり合いが、三船敏郎や志村喬、京マチ子といった名優たちの演技によって表現される本作は、スリリングで面白くてしかも深みある素晴らしい映画です。
 黒澤映画あるいは白黒映画の入門にもうってつけだと思います。
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